私の上司

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『…修斗さん。』





私がこうやって呼ぶようになったのはこの時から。





二人で手を繋いで帰る道。





ドキドキが止まらなくて、

でもなんだか凄く温かい気持ちになった。





『…山内さんとはどんな関係なんですか?』






ずっと聞きたかったのはこの言葉だから。

小さく聞いてみた。






「…元カノ」







少し考えるようにポツリと修斗さんから零れた言葉は予想外で。







『…えっ?!
いつまで付き合ってたんですか?』






自然と声のボリュームも大きくなってしまった。






「…お前と付き合う半年前までだよ。

仕事上では仲良くしてても実際は俺が振ってまだあいつの諦めがついてない状況。」






ふぅ、と小さく溜息をついた修斗さんと椿さんの間には一体何があったの?




少し切なそうに笑う彼を見るのが辛くて





「…花凛?」






気付けば
ギュッと修斗さんを抱き締めていた。






『…私、駄目ですね。
話を聞いてあげないといけないのは私の方なのに。』







…何か辛い事があったんでしょ?







椿さんと別れたのにも、





私を選んでくれた事にも、

理由があるはず。







「……ばかやろ。」







私の肩に雫が零れて





修斗さんの涙を



初めて知った。