私の上司

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仕事が終わったら一人で帰ろう。



ずっとそう考えていた。






やっぱり気まずいし、

話を聞いて貰えるにしても





…今自分は何を話したいのか分からない。







なるべく早くに仕事を終わらせた私は




なるべく小さな声で
お疲れ様でしたと挨拶をしてオフィスを出た。







ごめんなさい、


ごめんなさい、と小さく唱えながら。









櫻「なに先に帰ってんだよ。」








…だから

急に聞こえてきた彼の声に凄く驚いてしまって。






振り返る事が出来なかった。







『…ごめんなさい。』







小さく、背中を向けながら呟くと







『…きゃっ』





後ろから強く抱きしめられた。






櫻井さんの小さく、

悲しそうな声が降ってくる。







櫻「…俺のこと、嫌い？」







その言葉に

嫌な程反応してしまう自分が怖い。







『…違う！


大好きです。

でも不安なんです。


櫻井さんからは…






…翔さんからは聞いた事なかったから。」







最後の方は涙で上手く喋れなかった。







櫻「…ばか。」








ぎゅっと後ろから抱きしめていた私の体を回転させた翔さんは




私に甘いキスをくれた。









櫻「…愛してる。」








甘い言葉は

私をとびきり幸せにしてくれて。







…涙が止まらない。









そんな私を抱きしめて。







大丈夫って


私が落ち着くまでずっと言ってくれた。





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