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コツコツと私のヒールの音が響く廊下。
突き当たりにある自販機でアイスカフェオレを購入した。
…一ノ瀬さんは絶対ブラック。
小さく溜息を尽きながら甘いコーヒーを口に入れる私は
彼から見たら子供なのかも。
オフィスはすぐそこなのに一歩踏み出す勇気が出ないから。
そこに立ち尽くしてしまうだけ。
『…迷惑かけちゃう。』
きっとデスクでは麻木さんが今も真剣にキーボードを叩いているし。
ただでさえ業績の悪い私がサボってどうするの?
ぎゅっと拳に力をいれて、
その一歩を踏み出した。
オフィスではやっぱり忙しそうにキーボードを叩く麻木さんの姿。
それから…
真剣に電話越しに取り引き役に説明をしている…
一ノ瀬さんがいた。
…隣にはウサギさん。
「…どこ行ってたの?具合でも悪い?」
私なんかの事を気にかけてくれる麻木さんの優しさがジンと心に染みた。
『…ごめんね。
大丈夫だから。』
一生懸命笑顔を作ってないとやっていけない。
デスクのウサギさんはあまり視界に入れたくない。
私は…
また涙が零れそうになるから。
「……今日はあんま無理しないで早めに帰りな。」
柔らかく笑いながら私の椅子をひいて座らせてくれた。
パソコンの画面といざ向き合ってもなかなか集中も出来ない。
本当に付き合ってるのかな、
とか。
一ノ瀬さん私の事なんてもう嫌いかな、
とか。
そんな事を考えていると、
「花凛。
これ、取り引き先の一覧。分かりやすくまとめろ。」
後ろから聞こえてくる部長の声。
『…あ、はい分かりました。』
なるべく顔を見ないように資料を受け取ると
一ノ瀬さんが私の顔を覗きこんだ。
「…なんか面倒な事考えてんだろ?
今日、一緒に帰ってやるから。
全部聞いてやるよ。
お前は俺の彼女なんだ。」
大きな手のひらが私の頭に乗った。
そんな風にされればされる程、
辛くなるのに。
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コツコツと私のヒールの音が響く廊下。
突き当たりにある自販機でアイスカフェオレを購入した。
…一ノ瀬さんは絶対ブラック。
小さく溜息を尽きながら甘いコーヒーを口に入れる私は
彼から見たら子供なのかも。
オフィスはすぐそこなのに一歩踏み出す勇気が出ないから。
そこに立ち尽くしてしまうだけ。
『…迷惑かけちゃう。』
きっとデスクでは麻木さんが今も真剣にキーボードを叩いているし。
ただでさえ業績の悪い私がサボってどうするの?
ぎゅっと拳に力をいれて、
その一歩を踏み出した。
オフィスではやっぱり忙しそうにキーボードを叩く麻木さんの姿。
それから…
真剣に電話越しに取り引き役に説明をしている…
一ノ瀬さんがいた。
…隣にはウサギさん。
「…どこ行ってたの?具合でも悪い?」
私なんかの事を気にかけてくれる麻木さんの優しさがジンと心に染みた。
『…ごめんね。
大丈夫だから。』
一生懸命笑顔を作ってないとやっていけない。
デスクのウサギさんはあまり視界に入れたくない。
私は…
また涙が零れそうになるから。
「……今日はあんま無理しないで早めに帰りな。」
柔らかく笑いながら私の椅子をひいて座らせてくれた。
パソコンの画面といざ向き合ってもなかなか集中も出来ない。
本当に付き合ってるのかな、
とか。
一ノ瀬さん私の事なんてもう嫌いかな、
とか。
そんな事を考えていると、
「花凛。
これ、取り引き先の一覧。分かりやすくまとめろ。」
後ろから聞こえてくる部長の声。
『…あ、はい分かりました。』
なるべく顔を見ないように資料を受け取ると
一ノ瀬さんが私の顔を覗きこんだ。
「…なんか面倒な事考えてんだろ?
今日、一緒に帰ってやるから。
全部聞いてやるよ。
お前は俺の彼女なんだ。」
大きな手のひらが私の頭に乗った。
そんな風にされればされる程、
辛くなるのに。
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