私の上司







『えっ…』





頭の中が真っ白になって、


山内さんの顔がまともに見れなかった。







「花凛さんが部長と仲良いのは分かるけど私達はもう2年近く付き合ってるから。

…もう少し、考えて欲しいなと思いまして。」






にこって笑顔を見せる彼女に、


私は笑顔なんて向けられない。






これって…

どういうこと?



…浮気とか?



ねぇ、一ノ瀬さん…修斗さん…






「分かって頂けますかね…?」





遠慮がちに微笑む彼女に




『……は、い』






一生懸命頷く事しか出来なかった。






「ありがとうございます。」







そう言って彼女がオフィスに消えた瞬間、

私の我慢していた物が頬を伝った。







『…分かってたはずなのに…っ』






知ってたよ。





貴方はきっと半分遊びなんだろうなって。








私の事、



…好きでもなんでもないんでしょ?









「花凛?
いつまで休んでんだよ。早く仕事戻れ。」






背中から聞こえてくる彼の声。







「…泣いてんの?」








少し優しく心配するような声で…

また期待させないでよ。








「…こっち向けよ。」







そんな優しい声だって無視して…

その場を立ちされるくらい、





私は面倒な女だから。









「…おい待てよ!」









ごめんなさい。




今貴方の顔を見たら、






私もう整理出来なくなっちゃう。