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『…一ノ瀬さん。』





デスクの彼のもとへと歩いて行くと、
伊藤さんの言っていた通り




隅にはウサギが可愛らしく腰掛けていた。




カタカタとキーボードを叩く一ノ瀬さんは少し怒ってる？




『…先はすいませんでした。』



「…なにが？」






『私の言い方が悪くて。
…本当に大した事じゃないんです。』






軽く頭を下げると




"気にしてねぇから"




そんな冷たいトーンの声が降ってくる。






『…あの一ノ瀬さ…』





私が話し掛けようもしたその時、





「こんにちは。」





「…あぁ、山内。」








ロングの黒髪が綺麗な女性が私の隣に立った。




…美人さん。




そんな第一印象でしばらく見惚れてしまうと





「どうされました？」




クスッと口元を抑えながら私に上品な笑顔を向けた。




「…また後で伺った方がよろしいですかね？」





一ノ瀬さんに遠慮がちに尋ねる山内さん。





「…いいよ。もう話は終わったから。花凛は仕事に戻れ。」




良かったですって可愛らしく微笑む彼女の横にいるのが少し辛かった。




冷たく私に言い放つと山内さんと話を始めてしまう一ノ瀬さんに小さく頭を下げて。





少しだけ、
ギュッと痛む胸を抱えながら自分のデスクに戻ろうとすると

松原さんと目が合った。




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