『…え、…』




第一印象とかけ離れた目の前の彼の態度に言葉を失う。



『…す、すいません。
何でもありませんから。』




なんだが嫌な空気が流れるのを必死に無視してもう一度キーボードと向き合った。




…まだドキドキしてる。

彼の睨むような瞳は…
爽やかに毎朝挨拶してくれる彼とは違って。



…ちらりともう一度一ノ瀬さんに視線を移すと、
今度はバッチリ目が合ってしまった。




「…だから何なんだよ。
ウゼぇんだけど。」





そう言うと席を立って、
ネクタイを緩めながら私に近づいてきた一ノ瀬さん。



…え?!


軽くパニックになりながら、
後退りをする私は…


ドンっ



「…もう逃げらんねぇよ。」


ニヤリと口角を上げる一ノ瀬さんと壁に挟まれてしまった。


腰を屈めながら
私の顔をジッと見る一ノ瀬さんは何だが怖くて。



『…す、すいません!
本当に。
あの…もう邪魔しませんから。』




何をされるかビクビクしながら何度も一ノ瀬さんに頭を下げると上から降ってくる舌打ち。




「…じゃあ俺が頼む事何でもしろよ?」





『…はい!します!なんでも!』



流れに任せて出た返事は…



「じゃあ俺の彼女になれよ。」




私を想像もしなかった展開に流した。