始めはとにかく大変な事ばかりが私に降りかかった。



コーヒーも美味しく入れられてないみたいだし(少し先輩の梶野さんが思いっきり不味い顔をした)




コピー機の使い方はへなちょこだし(これまた少し先輩の松原さんが教えてくれた)



パソコンのキーボードにも、
殆ど触った事の無い私は資料をまとめるのにも他の社員さんの倍以上の時間がかかってしまい…



『今日も残業かぁ…』




私と一ノ瀬さん以外が帰ってしまったオフィスで体を伸ばしてからため息をついた。




もしかして一ノ瀬さんだったら、

"手伝うよ"

そんな風に笑顔で手伝ってくれるかもー!





なんて、新入社員が一番期待してはいけない事を期待しながら一ノ瀬さんに視線を移した。




しばらくパソコンの画面を見つめていた一ノ瀬さんだけど、
私の視線に気付いたのか視線が私に移って、


「何?」


初日の爽やかな顔では無く、

思いっきり嫌な顔をしながら私に問いた。