『えっえっ、…って事は一ノ瀬さんも…

可愛いって思ってくれたんですか?』





こんな事、自分の聞くのは恥ずかしいって分かってても

…やっぱり嬉しくて。





そんな盛り上がり過ぎの私を睨みながらひと言。





「…は?誰がそんな事言ったんだよ。
お前の顔はどんな事してもギネス記録並みにブスだ。」





『……』




しばらく固まってしまう私を見て爆笑の一ノ瀬さん。




「そのまま固まってろ。
じゃ、俺は暇じゃないから仕事に戻る。」



…ひどい。


少しくらい嘘でもさ、

可愛いって言ってくれてもいいじゃん。





でも仕事に戻る彼の後ろ姿は誰がいつ見てもカッコイイから…



『…本当、ズルイ。』




私ばっかり惹かれてる気がして、
少し胸が痛くなった。




今日のお昼は贅沢しよ。


一ノ瀬さんの毒舌も吹き飛ぶくらい美味しいやつ。

そうそう、最近出来たフレンチとか。






オフィスに戻り、
一ノ瀬さんのデスクに残したメモ。





[撫で肩部長へ
明日もつけまつげ付けますから!]





ちょっとした悪口も添えて。

いや、でもね?
彼の撫で肩は社員の間でも有名なもの(笑)




…我ながら子供だなって思うけど、
彼への小さな仕返し。





…思いっきり嫉妬してください。


私だって、他の女性社員に向ける貴方の笑顔にはどうしようもないくらい嫉妬してるから。





さあ、彼はメモを見てなんて言うかな。





少し反応を楽しみにしながらお財布を片手に街へ繰り出した。