「完全な悪ガキだな・・・!?いつまでも抱いてんじゃねぇぞ!?」
「お客様には、関係ありません。」
「ここで仕事できなくなってもいいのか!?」
私を抱き寄せながら言えば、大きな口を開けて田渕が言う。
(それは困る。)
瑞希お兄ちゃんはバリスタの修行をしている身。
半年も、このおじさんの嫌がらせに耐えたのもそのため。
(瑞希お兄ちゃんへの怒りを消さないと!)
どうするって?
そりゃあ、私がするしかないでしょう!?
「ぷっ!なにそれ~?おじさん、妬いてるのぉ~?」
「なっ!?」
「凛!?」
瑞希お兄ちゃんへの怒りを消すなら、別の誰かに怒りを向けさせればいい。
(つまり、私だっ!!)
凛道蓮スイッチ・オン!
「そんな顔で怒ってるから、エンジェル様に振られたんだろうー?八つ当たりしてんじゃねぇよ!」
「小僧・・・!人を蹴り飛ばしておいて、余裕だな・・・!?親兄弟に迷惑かけてぇか・・・!?」
「オメーは余裕がなさそーだな、ストーカー?」
強い口調で言って、パン!と音を立ててメニュー表を閉じる。
「椅子ごとコケるぐれー、エンジェル様へ邪心が重かったんじゃないですかー?これでちっとは、欲張りしすぎるのは、よくねーって学習できましたか~?」
「小僧っ!?」
「テメー!田渕社長になんて口の利き方を~!」
「ふざけんなよ!?」
「そりゃあ、テメーらだ!!この三下共がっ!!」
パンッ!!
「「うっ!?」」
もう一度、メニュー表で音を立てる。
静かにしゃべった後で怒鳴る。
「コーヒー屋でコーヒー頼まないで、なにしてんだ!?誰もオメーらのセルフサービスラジオを聞きに来たんじゃねぇーぞっ!?」
それでひるむ相手に、マシンガントークを浴びせた。
「くっ・・・!」
「ぐう・・・!」
言い返せない奴らをにらんだまま、メニュー表で田渕を指さす。


