「いい加減、離してください!警察呼びますよ・・・!?」
「呼べばいいだろう?ここら辺の警察が、仕事してないのはわかってるだろうー?」
「瑞希ちゃんさ、ちょっと色気出てきてない?なんか良いことでもあったかなぁ~」
ベタベタと、私の瑞希お兄ちゃんに触る右腕と左腕。
その様子を、うっすらと笑みを浮かべて見ているだけの田淵社長。
そんな敵の態度にムカつきつつも、心を鎮める。
殺気を消し、ゆっくりと近づく。
音を立てないように、心を無にして進む。
瑞希お兄ちゃんが気づく前に。
「やめてください!・・・・お願いします・・・・!」
「だったら、誠意みせてくれよ~!いい加減、田淵社長のご期待に応えてよぉ~」
「オラ!隣に座ってさしあげろってんだよっ!」
「っ!?だから、やめー」
瑞希お兄ちゃんを両側から掴む男2人。
そのまま、無理矢理、社長の隣に座らせようとする前に。
「すいませーん、オーダーっ!!」
手を上げて大声で注文。
「「はっ!?」」
「え!?」
私の声に気づいて、瑞希お兄ちゃんを含む3人がこちらを見る前に――――――――
ガッ!
田渕とやらが座っている椅子の足を蹴り飛ばした。
―――――――――ドッバーン!!
「うおっ!?」
ガッターンっ!!
「ごあっ!!?」
ガコガコーン!!
「えっ!?」
「「社長!?」」
私の一蹴りで、ソファーに深くふんぞり返っている社長は椅子ごと倒れた。
ソファーはソファーでも、4本足のタイプだったので、良い感じに蹴れた。
「くっ!?・・・うう、う・・・!」
「しゃ、社長しっかり!?」
「田渕社長!?」
「い、今のは、なんだ・・・!?俺を蹴った奴は・・・!?」
椅子と一緒に倒れた社長がうめく。
初めてしゃべった。
大事な上司の側に、瑞希お兄ちゃんに絡んでいた2人も駆け寄る。
「ど、どーなってんだ・・・・!?」
ポカーンとしたまま、立ち尽くし、その様子を見ていた瑞希お兄ちゃん。
「こんばんはーエンジェル様~♪」
驚いた状態の瑞希お兄ちゃんの正面に、素早く入り込むと笑顔で言った。
「え!?その声は―――――――!?」
相手が何か言う前に、素早く抱き付く。
正面から抱きついた。
「僕ぅ~エンジェル様の入れたコーヒーを飲みに来ましたぁ~!」
甘えを込めて抱き付く。
彼の背中に両手をまわして飛びつく。
半分は不意打ち。
それにもかかわらず、瑞希お兄ちゃんは、私を払いのけなかった。
「凛っ!!?」
ちゃんと私だとわかってくれた。
抱き付いて、彼の胸の中から見上げる。
そこには、丸くした目で私の名を呼ぶ瑞希お兄ちゃんがいた。


