彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)






3コール以内でそいつは出た。






〈もしもし、菊千代か?〉

「ああ、俺だ・・・・」

〈ん?なんか、声が変じゃないか?〉

「わかるか・・・?」





顔面に走る痛み耐えながら言う。

俺、蛇塚菊千代は、病院のベットの上にいる。

復活した新・龍星軍と旧・龍星軍にやられ、医者の元へと運ばれた。

人生初の敗北は、人生初の屈辱だった。





(この俺が負けるなんて・・・・!!)





同じ相手に、二度も・・・!!

恥さらしもいいところだ!

本当なら、誰かに話すのもムカつくが――――――――!!







(『こいつ』は、別だ。)






俺は賢い男。

やられたら、上手にやり返す。






「実はよ・・・今病院でさ・・・」

〈はあ?ついに、性病うつされたのか?〉

「そうだとよかったな。」





普通なら、キレて怒鳴るところをトーンダウン。

それに電話口の相手の口調も変わる。





〈どうした?なにかあったか?〉

「すまねぇ、『兄弟』・・・・シロートにやられちまった。」





わざと弱い声で言った。





〈素人?凶暴菊様のお前が?〉

「負けた。」

〈へぇ~・・・・詳しく聞かせろよ。〉





興味を持ったように聞いてくる相手に、かかったと思う。





「き、聞いてどうすんだよ・・・!?」




楽しい気持ちで演技する。

聞かれては困る口調で返す。

俺の仕掛けた言葉の罠に、獲物がかるように弱者を演じる。





〈聞かせたいから、電話してきたんだろう?ちょうど、俺もヒマしてたんだ。聞かせろよ、『兄弟』?〉

「・・・いいのか・・・?」





上がりそうなテンションを抑えて、下げ気味につぶやけば相手は言う。





〈機械のゲームもいいが、リアルサバゲーもしてぇんだよ?強いのか、そいつ?〉

「最凶だ。」

〈合格。そっちへ観光めぐりするのもいいだろう。仲間連れて遊びに行ってやるよ。〉

「兄弟・・・・!」

〈くっくっ・・・渡世稼業は流行らねぇけど、ムカつく奴はしめちゃうのが、若さ故ってやつだろう~?〉





得物はかかった。

俺の誘いにこいつは乗った。

これでゲームの結末は決まった。





(俺の勝ちだぜ、凛道蓮!)





今まで馬鹿にしやがった分、まとめて叩き返してやる!





(SHIELDを吸収した、新生・蛇の目の蛇塚菊千代様が・・・!)






2人のどちらからともなく、笑い声が漏れる。



黒く濁った闇が広がる。

真っ白な半紙にしみ込む墨のような勢いで。

近づいてくる不穏の足音を、凛はまだ知らない。










~最強総長・降臨(こうりん)!愛も友情も一件落着!?~完~






~彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)~完~