「凛が顔のことでいじめられてんだったら、凛一人じゃどうにもならないなら俺に言え。」
「え?」
「ガキの喧嘩に親が口を出すなっていうけど、それがいじめなら違うだろう?」
そう語る彼の目は、龍星軍総長のもの。
厳しくも、優しさを秘めた瞳。
「俺ぁ多勢に無勢が大嫌いだからよぉ・・・!凛、恥ずかしがったり、遠慮することはねぇ。嫌なら俺に話せ。お兄ちゃんとして、ゴミ共に文句言ってやる。」
「瑞希お兄ちゃん・・・・・」
「隠してもわかるんだぞ、凛?我慢してる顔とかさ・・・・」
それで泣きそうになる。
言いたくなる。
(いじめのこともだけど・・・・・・・・・!)
彼をだますことになった大きなヒミツのこと。
(私本当は・・・・女の子なんだよ・・・・!?)
なぜあの時、『女の子』だと言わなかったのか。
一時の感情と目先の欲を優先して、男じゃないと否定しなかった
そうすれば、彼に助けてもらえたのに。
(・・・・・・・・・助けてもらえた?)
「だめだよ。」
「凛?」
一瞬、頭をよぎった思いを恥じる。
(だめだよ、それ・・・・虫がよすぎる・・・・!)
そう思ったから、本気で心配してくれる大人に向かって伝えた。
「自分の始末は自分でしなきゃ・・・・自分の問題だから・・・・」
簡単に頼っちゃダメ。
すぐに甘えちゃダメ。
「まだ、まだ・・・・負けたわけじゃない。まだ、巻き返しは出来るから、何とかできる余裕があるか・・・・!」
「凛。」
「だからね、お兄ちゃん!本当に僕がダメになった時に――――――――・・・・!今はまだ、そうじゃないから。僕は僕の問題から、逃げちゃダメだから・・・・!」
「そうか・・・。」
うまくつながってない言葉。
それでも彼は、静かにうなずいてくれた。


