迷った末、一番誤魔化せそうな理由を口にした。
「だ、だって・・・・瑞希お兄ちゃん、僕の顔嫌いじゃないって、言ったから・・・!」
「顔?」
「お、お兄ちゃんと二人だけだし・・・・瑞希お兄ちゃんになら、素顔の自分でいても笑われないかなって・・・・!」
「笑うか、馬鹿。」
その言葉に合わせて、ギュッと抱きしめられた。
(わわわ!瑞希お兄ちゃんの胸に抱きしめられてる~!?)
入院患者用の服を着ているため、いつもより余計に瑞希お兄ちゃんの肌の感触が伝わる。
ドキドキが増した。
「俺は凛を笑わない。」
「瑞希お兄ちゃん・・・・?」
浮かれる私とは逆に、瑞希お兄ちゃんの声は厳しい。
気になり、そっと見上げる。
表情を見れば――――――――――
「凛は、おかしいことしてないからだ。」
真面目な顔で、私を見ながらそう言ってくれた。
「凛、お前学校どうしてる?」
「え?」
「大河や高千穂は、よく俺に話してくる。けど、凛からは一度も聞いてない。」
「そ、それは――――――」
(言えるわけないよ!)
今の私は、瑞希お兄ちゃんのために存在する人間。
『菅原凛』はいても、『凛道蓮』はいない。
学校の話なんて、できるはずがない!!
「凛・・・・お前の名前だけど・・・・」
「な、名前が何か!?」
もうウソがばれたのかと思う。
怯える私に、彼は小さく言った。
「凛・・・・苗字が違うんじゃないか?」
(やっぱり!)
バレた!?
「『凛道』は昔の名前で・・・・今は、どっちかの親の苗字じゃないのか?」
「へ?」
「あ、いや!離婚はないよな・・・えっと、再婚とか?正直な話、どうなんだよ?」
「・・・・なぜ、そう思われますか?」
なんかまた、違う方向へ進んでいる気がする。
そんな思いで聞けば、気まずそうな顔で言われた。
「『凛道』って言えば、珍しい名前だろう?どの高校にも、中学にも・・・・該当者がいないって伊織が・・・」
「調べたんですか!?」
「把握してた方がいいって、言うからよー」
(ホント怖いな、あの眼鏡!)
〔★伊織への恐怖が増した★〕


