瑞希お兄ちゃんは、拳銃を叩き落とすためにトンファーを投げたんじゃない。
(人間ではなく、物に狙いを定めたんだ!)
その証拠に、トンファーの持ち手部分が、銃口をふさいでいた。
(狙いは拳銃だったの!?)
これにより、一瞬だけできた『弾が出せない』状況。
ほんの数秒のことだけど、銃口をふさがれたことで蛇塚が慌てた。
「うあっ!?じゅ、銃が!?弾が出なっ・・・!?」
「とれーよ!」
驚いたまま、アドリブの利かない蛇塚に、瑞希お兄ちゃんが素早く近寄る。
アイススケーターみたいに床を滑って、拳銃を持っている蛇塚の腕を掴んだ。
ガシッ!
「あっ!?」
「これで、貸し借りなしだ。」
恐怖で固まる蛇塚に、楽しそうな口調で瑞希お兄ちゃんが告げる。
「誘拐の件はな!!」
――――――――――――バギャン!!
「あぎゃっ!?」
その次の瞬間、蛇塚は壁に叩きつけられていた。
「へ、蛇塚さん!?」
「あぐぅ、あ・・・・!!」
名前を呼ばれているのに、返事ができていない。
その様子を見て思う。
(・・・あれじゃあ無理よね・・・)
口や鼻から血を流し、呆然としてる蛇の目の頭。
呆然としており、繊維がなくなっているのはあきらかだった。
そんな男に、龍星軍の初代頭が近づきながら言った。
「・・・・誘拐は、これでおしまい。けど、今度俺を使って凛を追いこんだら、殺すぞ・・・・!?」
「あ、ひゅ・・・・・・・・・・・っ!!」
これに蛇塚は顔をひきつらせたまま、前のめりに倒れた。
強張った体が、数回痙攣(けいれん)してから静かになる。
それを見て、もう奴が動くことはないと思った。
〔★瑞希の完全勝利だった★〕


