「凛、言う通りにしろ。」
「瑞希お兄ちゃん。」
「ほら、貸してみろ。」
そう言うと、私の両手から2本のトンファーを奪う瑞希お兄ちゃん。
これで神経質になっていた蛇塚が騒ぐ。
「おい、勝手に動くな!」
「なに言ってんだ。オメーに有利な状況で、俺に何かできとでも思ってんのか?」
威嚇するように銃口を突きつける相手に、動じることなく平然と見好きお兄ちゃんは言う。
それをカッコいいと私は思ったが、蛇塚の方はますますピリピリし始める。
「すかしてんじゃねぇーぞ!?動くな!俺の命令に逆らうな!」
「さからわねぇーよ。なぁ、これ1本ずつ、お前に渡せばいいのか?」
「勝手にしゃべるな!静かに渡せ!」
「手渡しはダメなんだよな?投げていいか?」
「だからしゃべるなよ!妙な真似しやがったら、お前から先に殺―――――――――!!!」
「わかったよ、ほら。」
パニくってる蛇塚をよそに、落ち着いたままの瑞希お兄ちゃんがつぶやく。
そして、私のトンファーの一本が彼の手から離れた。
―――――――――――ブーン!!
「え!?」
「あ?」
驚く私と、理解できてない様子で声を漏らす蛇塚。
瑞希お兄ちゃんが見せたのは、ほのぼのしてた口調とは逆の動作。
俊敏に、素早く、大リーガーが投げるようなフォームで、トンファーを蛇塚めがけて投げたのだ。
〔★トンファーは一直線に飛んでいった★〕
「な、投げちゃった!?」
「瑞希さん!?」
あっという間の出来事。
私と円城寺君の声が重なり、強い音が響いた。
ガチン!!
瑞希お兄ちゃんが投げた武器が、蛇塚に当たる。
「いってぇ!?」
トンファーの長い部分が、ピストルを握る手に打ち付けられる。
武器を離させるために、当てたように見えたが――――――
(違う!)
当てたことは間違いないけど!
(蛇塚を狙って投げたんじゃない。)
目にした光景がそう思わせた。


