「うう~お、おもーい!進まなぁーい!」
荷物を持ったまま、情けない声を出す。
「あら?どうなさったの?」
それで、マンションの入り口まで来ていた女性が声をかけてきた。
「あなたバイトさん?宅急便さんが、こんなところでどうしたの?」
そう言って、私に近づいてきたのはスポーツフェアを着た中年女性。
整えられた髪と、ただよってくる香水だけで、お金持ちと言えた。
いるのは彼女一人だけ。
この人が、獅子島さんが言うターゲット。
「困るわ~道の真ん中で止まられたら。」
「ご、ごめんなさい!」
困り顔で行ってくる相手に、小動物モードで私は言った。
「みんなで運んでいたんですが・・・無理をしてしまいまして・・・!」
「無理?」
「はい。この冷蔵庫・・・6人で運ぶのは大丈夫ですが、誰か1人が手を離すと落しちゃうってことに気づいてしまって・・・!」
「あら?それで、みんなで固まってたの?」
「はい・・・邪魔してすみません・・・・!」
頑張って小動物モードで、おばさんに語り掛ける。
〈お前が小動物らしく振舞えば、大体の女は言うことを聞くからな、凛道?〉
・・・・という獅子島さんの作戦。
(正直どうなんだろう・・・)
小動物らしいオーラを出せって言うけど、私人間なんですが?
ということを言ったところで、『俺に不服か?』って、ドS丸出しで言うから逆らえなかったし・・・・
(おのれ、誘拐犯!覚えてなさいよ・・・・!)
〔★凛の怒りが増した★〕
眼鏡の先輩の指示に疑問を感じながら、おばさまにお願いしてみた。
うまくいくはずないと思ったんだけど・・・・
「あら~そうならそうと言っていいのに!待っててね、坊や。」
「え?」
ニッコリ笑うと、いそいそとおばさんはインターホンへと向かう。
そして、住民だけしか知らない暗証番号を押して扉を開けてくれた。
ウィーン、ガガー!
「さぁ、どうぞ。入りなさい、坊や達。」
(ええ―――――――――!?本当に、開けてくれた!?)
〔★開門となった★〕


