彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)




あの時。

ガスで意識が落ちかけた時。





「おい、人が来る前に運べ!」





蛇塚の指示で、俺の体に蛇の目たちの手が触れる。

そこで意識が落ちかけたが―――――――――






「うおおおおおおお!」





突然あがる雄叫び。





「なっ!?」


「その人から離れろっ!!」


ドドドーン!!


「「ぎゃああ!?」」


(な、に!?)




目の前で、かすかな視界の中で、俺を運ぼうとしたガキ2人が飛ぶ。




(タックル、だと!?)




完璧な体当たりで、蛇の目から俺を救う誰か。




「もがもが!真田さん、しっかりしろ!」




シャツで口をふさぎ、そう聞いてくるのは知ってる顔。





(可児、良信?)





凛が助けた本人で、凛に惚れこんで舎弟にしてくれと言った元SHIELDのメンバーだった。




「おおい!?反応ないけど、死んでんじゃねぇか!?」

(生きてるわ、ボケ!)




そう言いたいが、口も動かない。



〔★瑞希は交信できない★〕




「返事してくれよ、真田さん!生きてんの!?生きてるよな!?あ、脈はある!?」





オロオロしながら俺の手を取り、鼓動を確認してからホッとする。




「なんだよ!?変な薬でも撃たれたのか!?心臓も動いてるし・・・もう生きてるってことにするぞ、ホント!」

(だから、生きてるって言ってんだろう!?)



〔★瑞希はやっぱり交信できない★〕




そんな俺に舌打ちすると、軽々と肩に担ぐ。




「どけコラ!」

「うわ!?可児だ!?」

「なんでお前が!?」

「オメーら、SHIELDの!?人さらいまで落ちやがって~!」



知った顔があったのか、いまいましそうにうめく。

そして、一瞬だけ目つきを鋭くしてから吐き捨てる。






「くそったれが!!邪魔だ馬鹿共!」






大声で怒鳴ると、俺を肩に担いで走り出した。



「あ、待ちやがれ!」

「持ち逃げしたぞ、あいつ!?」

「蛇塚さん!どうしましょう!?」

「追え、馬鹿野郎!可児テメー、逃げれると思うなよ!逃がすな、終え!」



「バッキャロー!待てと言われて待つ奴がいるか!」






後ろに向かって怒鳴りながら走る可児。

その口から、ハァハァと荒い呼吸が耳に届く。

俺を担いだ状態で、短距離走の選手並みの速さで逃げる。