ささいなことだけど、彼との出来事は全部覚えてる。
優しくされたことも、厳しくされたことも、私にとっては良い経験値。
(無事助かったことだし、また瑞希お兄ちゃんとデートしたいなぁ~)
そんな思いで、シートベルトをはずす。
気を失っている男達をかきわけて、ドアを開ける。
「ほっ!」
高さがあったけど飛び降りた。
地面につく足。
「りーんっ!!」
バウンバウンバーン!
「え?」
着地したのと、呼ばれたのはほぼ同時だった。
聞きなれたバイクの音と声。
振り返れば、1台のバイクが近づいてきていた。
「カンナさん!?それに、ヤマト!」
「無事か―!?」
「うはははは!おーい、自分まだ、無事やないでー!!」
「え?」
(無事じゃない?)
ヤマトの言葉に、事故らせた車のことかと思う。
私が事故らせた車に対する感想だと思ったけど――――――
「殺す!クソガキっ!!」
「え!?」
後ろからの声で、車のことじゃないと知る。
見れば、頭から血を流す男が1人。
ヤマトが言ったのは、車ではなく、車から降りてきた誘拐犯のことだった。
(ヤバ!油断した!)
「死にやがれ!」
攻撃態勢に移る前に、相手の拳が飛んで来た。
「―――――――――――させっか!!」
バウバウ、キキッ!
「うわ!?」
「カンナさん!?」
間一髪で、当たらなかった。
カンナさんが、私達の間に、バイクごと割り込んでくれた。
「なんだテメー女!?」
「テメーこそなんだ!?凛を誘拐して、どうするつもりだ!?」
「うはははは!身代金目当てやないかー?」
「正解です、ヤマト君。」
「ホンマか、凛!?」
「うん、そう聞きました。」
「聞いたのかよ!?オメーもよく平気で教えるな!?」
「う、うるせぇ!」
私とヤマトにツッコミを入れ、犯人にもツッコむカンナさん。


