次の授業は美術。
絵の制作だから、早く描き上げた人から順に自由時間になる楽な教科。
1人ボッチの私は、誰かと話すこともなく、完成させて提出していた。
(つまり、サボってOKよ!)
そう決めて、荷物を取りに教室へ向かう。
移動時間は十分あるので、さっさと帰る。
帰ると言うか、会いに行く。
誰に会うかは決まっている。
(待っててね、瑞希お兄ちゃん!!)
じゃなかった!
(カンナさんだ!)
怒った理由を、怒らせてしまった理由を聞いて、仲直りしなきゃ!
彼女に会わなきゃ!
会えるから!
(そのために、ヤマトに頼んだんだから!)
速足で歩きながら、さっきのやり取りを思い出す。
2人きりの化学室で、私は彼にある提案をした。
「なんやて?わしに東山高校へ先回りさせて、カメ子ちゃんを引き留めてほしい?」
「カンナだよ、ヤマト。」
コソコソ話しながら、私はお願いした。
「『僕』は、教師に呼び出されてるから、このままバックレられない。でもヤマトは、何も用事がない。」
「なるほど~凛道蓮モードの時は、わしをヤマトと呼ぶんやな?」
「それはおいといて、聞いて!ヤマトは、カンナさん達と面識もある。彼女を呼んで、僕が来るまで待ってと伝えてくれ。僕におごるアイスを、彼女におごると言えば、女の子だから待つぐらいはしてくれるよ。」
「なるほど~腹がすいてれば、誰にでも聞くからのぉ~ほな、わしこれからサボるわ。」
「ごめんね、授業をさぼらせて。」
「ええねん、ええねん。睡眠学習やから。ほなな~」
ニッコリ笑うと、さっさと化学室から出ていく男。
「睡眠学習って・・・・・・・」
(あの子、大丈夫なのかな?)
勉強もだけど・・・
(信用してよかったかな・・・・・)
今さらながら、否定しなかったことを少し後悔。
(でも・・・・何度も助けてくれたから・・・・)
信じてみたい。
「悪い奴じゃ・・・ないって・・・」
そんな思いもあって、私は五十嵐ヤマトに、いろいろ『たくした』のだった。


