駅まで行って、また戻ってきては、時間がかかる。
(井谷の話を聞いてからバックレたとしても、間に合うかな・・・?)
「凛が着替え終わるまでに、わしがあのヤンキーガールの足止めしたるで~?」
「うっ・・・」
正直、そうしてもらえれば助かる。
(助かるけど・・・出会って間もない相手を、こうも信用しすぎるのも~)
危なくないかと迷ったけど―――――――――
「凛、誤解解くなら、早い方がええで?『男』なら、迷ったらいかんで!?」
「『漢』、違いだけどね。」
正直、こうなったら破れかぶれ。
(簡単に信じちゃいけないのは、さっきのことで学習したけど・・・・)
「・・・・・・・・何度も、助けてくれたもんね・・・・」
彼は、私がどんな立場であっても助けてくれた。
良くしてくれた。
ちょっと変わってはいるけど・・・
(信じるのには十分な相手だよね・・・・?)
「うははは!なんか、ゆーたか?」
「・・・・・・・ううん、なんでもないよ。」
のん気な顔で聞き返してくる相手を、誤魔化しながら思う。
(新しくできた友達の言う通りよ。最初の友達を・・・・カンナさんを失いたくない。)
そして決断する。
「ごじゅうあらし君。」
「お!?決めたんか!?」
「君が・・・・ヤマトが、『僕』についてくるというなら、頼みがあるんだ。」
「お、やっとヤマト呼びやな!?ええで、ええで!なんでも言うてみー?」
私の言葉に手を叩いて喜ぶ関西男子。
軽いノリの答えに、大丈夫かと思いながら言った。
「あのね、カンナさんを―――――――――・・・・!」
「お!?それはええなぁ~そうきたかぁ~一本取られたで!うはははははは!」
小声で耳打ちする私に、五十嵐ヤマトが笑う。
誰もいない化学室で、新しい人間関係と、1つの取引が成立した。


