弱いふりをする女に、怒りを我慢できなかった。
「ちょっと、ふざけないで渕上さん!猫を被るのも、いい加減にー」
「化けの皮がはがれたのはあなたでしょう、菅原。」
「井谷先生!?」
自分の背後の生徒をかばいながら、担任教師はため息をつく。
「あなたのことは、よくわかりました。これ以上、渕上さん達に何かしたら、一度ご両親にも来てもらいますからね?」
「なぜです、井谷先生!?どうして、信じてくれないんですか!?」
「こんなに証言もあるのに、被害者ぶるのはやめなさい。第一、本当に渕上さんが貴方を階段から落とさせたなら、今みたいに倒れかけたあなたを助けたり、かばったり、気遣ったりしますか?」
「それは演技です!」
「菅原ッ!!」
パァアン!
高い音と、怒鳴り声が痛かった。
「いい加減にしなさいっ!!」
「あっ・・・・!?」
(殴られた・・・・・?)
そう思った時、井谷先生はトドメの一言を言った。
「うちの学校では、不適切な生徒に対しては、体罰を行います!渕上さんとあなたは『立場が違う』んですよ、菅原っ!!」
みんなの前で怒られて、信じてもらえなくて、涙が目に浮かぶ。
「おい、あれ泣いてるんじゃないか?」
「よかったじゃん~不幸のヒロインになれて~」
「ルノアを悲しませた罪だよね~」
「最低女っ!」
そんな声に合わせ、痛みの後ろにいる女が笑う。
同時にその口が動く。
ばーか。
「っ!!」
悔しくて、悲しくて。
とにかく、泣くのを見られたくなくて、私は廊下を走った。
「逃げるな、菅原!あとで、生徒指導室に来なさい!!」
担任の声に合わせ、クスクスと笑う声が聞こえた。
そこから離れたはずなのに、笑い声が止まらない。
そして気づく。
(みんなが・・・笑ってる・・・・!?)
ワタシヲ、ワラッテイル・・・・!!
(-----瑞希お兄ちゃんっ・・・・!!)
ツラい時ほど、愛しくて優しい人が思い浮かぶ。
(終わったと思ったけど、違ってたよ、瑞希お兄ちゃん・・・!!)
被害妄想ではなく、目に映る痛い事実。
変えられない現実。
進化していた悪意。
私のいじめは、陰湿さを加えて続行していた。


