立ち上がり接近して、殴ろうとしたけど・・・・
「なにしてるんですか!?」
響き渡る女の声。
それで思わず、振り上げそうになった手が止まった。
相手が誰か、わかっていた。
「井谷先生!?」
「なにしてるんですか、あなた達?菅原さんも、汚いですね?」
「え・・・?」
その言葉で顔が赤くなり、一部の女子が口を押えて笑う。
「何を騒いでるんですか、渕上さんも?」
「先生!私―――――――」
「菅原さん、今は渕上さんに聞いてるんですよ?誰があなたに聞きましたか?」
わけを話そうとすれば、きつい声で止められた。
その言葉が胸に刺さる。
「いいんです、井谷先生。」
「渕上、さん!?」
そう言った奴は、人の良い笑顔になっていた。
早い話、先生受けする作り顔。
「菅原さんが階段から落ちたので、保健室に運ぼうとしたんです。」
(なっ!?)
なに言ってんの、この女!?
(このごに及んで、まだ嘘をつこうって言うの!?)
冗談じゃない!
そうされる前に言った。
「うそです!渕上さんが命じた他の仲間に、突き飛ばされたんです!おむすびころりんとかいわれながら、転がされて――――――――!」
「はあ?おむすびころりん?」
「ぶっははははは!何言ってんだ、こいつー!?」
「被害妄想キツすぎー!」
「なっ!?」
途端に周囲から爆笑が起こる。
「井谷先生―!菅原さん、頭うってパ二くってるだけですよ~」
「そうそう!渕上さん、一番にかけ追って、助け起こしてあげたのに~」
「あら、そうなの?だから、あなた達、近い距離にいるのね。」
なぜか納得する先生に、焦りがつのる。
「違います、井谷先生!これは私から近付いて、助けられてもないです!」
「仮に、菅原さんが突き飛ばされて、渕上さんが主犯だとしても、被害者がわざわざ加害者に近づきますか?」
「なっ!?信じてくれないんですか・・・・!?」
「そう言ってるのは、あなただけじゃないですか?」
「っ・・・・!?」
ジロッと呆れながら言う先生に言葉を失った。


