『felicita(フェリチータ)』へは、まっすぐ帰れなかった。
〈凛、今度は左に曲がれ。〉
「え?お店からどんどん離れてませんか?」
〈それでいいんだって。あ、次は、まっすぐ走って右に行ってくれ。〉
「え?また、さっきの道に戻るんですか?それなら、移動しない方が・・・」
〈いいから、言う通りにしろ。烈司がそう言ってんだから。〉
「・・・はい。」
電話越しの瑞希お兄ちゃんに、何も言えなくなる。
可児を助け出したのだが、なぜか遠回りの道順で帰るようにと伝えてくる瑞希お兄ちゃん。
そうかと思えば、裏道だったり、交番の側を通らされ・・・ノーヘルということもあって冷や冷やした。
〈よーし、凛!『もう』、普通に帰ってきていいからな?〉
「?わかりました・・・」
やっと、お店に戻って来たのは、かなり時間をつぶしてからだった。
スピードを緩め、ライトを消しながら止まれば、ガレージが空いた。
(あ♪瑞希お兄ちゃん、お出迎えしてくれるのかぁ~!?)
甘い期待に顔が緩む。
「凛っ!無事かっ!?」
「なにやってんだ、凛道この野郎!?」
「えっ!?カンナさんと円城寺君!?」
緩んだ顔が固まる。
引きつる。
出てきたのは、爆裂弾のカンナさんと円城寺君。
2人共、私達に近づくなり言ってきた。
「バッキャロー!凛!なにやってんだ!?SHIELDの奴なんか助けて!」
「ご、ごめん、カンナさん!あんまりにも、一方的だったから~」
「阿保が!どんだけ、敵作れば気が済むんだ!間抜け野郎!」
「そんな、円城寺君まで~」
「それぐらいにしろっ!」
怒る2人の声をかき消すように大声が上がる。
「瑞希お兄ちゃん!!?」
「瑞希さん!」
「真田先輩!」
「おしゃべりは、後にしな。可児を運ぶぞ。皇助!」
「わははははは!」
会いたかった好きな人と、そこまで会いたいわけじゃなかった人の登場。
「凛助~!エキサイティングじゃねぇーか~!?」
「いや、僕は別に~」
「わはははは!オメーの調書は後だ!来いや、ハゲ!!」
驚く私達をよそに、瑞希お兄ちゃんの命を受けた百鬼が動く。
瑞希お兄ちゃんの背後から出てきた野獣が、私の後ろにいるハゲ君の体を掴んで持ちあげた。


