彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)





『felicita(フェリチータ)』へは、まっすぐ帰れなかった。



〈凛、今度は左に曲がれ。〉

「え?お店からどんどん離れてませんか?」

〈それでいいんだって。あ、次は、まっすぐ走って右に行ってくれ。〉

「え?また、さっきの道に戻るんですか?それなら、移動しない方が・・・」

〈いいから、言う通りにしろ。烈司がそう言ってんだから。〉


「・・・はい。」




電話越しの瑞希お兄ちゃんに、何も言えなくなる。

可児を助け出したのだが、なぜか遠回りの道順で帰るようにと伝えてくる瑞希お兄ちゃん。

そうかと思えば、裏道だったり、交番の側を通らされ・・・ノーヘルということもあって冷や冷やした。




〈よーし、凛!『もう』、普通に帰ってきていいからな?〉

「?わかりました・・・」




やっと、お店に戻って来たのは、かなり時間をつぶしてからだった。

スピードを緩め、ライトを消しながら止まれば、ガレージが空いた。





(あ♪瑞希お兄ちゃん、お出迎えしてくれるのかぁ~!?)





甘い期待に顔が緩む。





「凛っ!無事かっ!?」

「なにやってんだ、凛道この野郎!?」


「えっ!?カンナさんと円城寺君!?」





緩んだ顔が固まる。

引きつる。

出てきたのは、爆裂弾のカンナさんと円城寺君。

2人共、私達に近づくなり言ってきた。




「バッキャロー!凛!なにやってんだ!?SHIELDの奴なんか助けて!」

「ご、ごめん、カンナさん!あんまりにも、一方的だったから~」

「阿保が!どんだけ、敵作れば気が済むんだ!間抜け野郎!」

「そんな、円城寺君まで~」



「それぐらいにしろっ!」





怒る2人の声をかき消すように大声が上がる。




「瑞希お兄ちゃん!!?」

「瑞希さん!」

「真田先輩!」


「おしゃべりは、後にしな。可児を運ぶぞ。皇助!」

「わははははは!」




会いたかった好きな人と、そこまで会いたいわけじゃなかった人の登場。




「凛助~!エキサイティングじゃねぇーか~!?」

「いや、僕は別に~」

「わはははは!オメーの調書は後だ!来いや、ハゲ!!」




驚く私達をよそに、瑞希お兄ちゃんの命を受けた百鬼が動く。

瑞希お兄ちゃんの背後から出てきた野獣が、私の後ろにいるハゲ君の体を掴んで持ちあげた。