彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)





ピクピクと痙攣(けいれん)しながら、動かなくなったボスに、全員が立ち尽くす。

無言になる。

なんちゃって、お葬式状態。








〈凛、今のうちに脱出だ!〉


「瑞希お兄ちゃん。」








そこへ、つながりっぱなしだった電話から声がする。

小声で、私の耳の中にささやく。



〈周りが動けねぇーうちに、不意打ちで逃げろ!〉

「あ、それもそうですね。」



その指令を受け、サッと可児へとしゃがむ。

そして、護身用に持たされていたナイフでスパッとロープを切った。




「おお!?凛道!?」

「行こう、可児。」




戸惑う可児君の腕を引っ張る。

そのまま、肩を貸したんだけど・・・・




「あっ!?ま、待て!」

「逃がすかよ!」



私達の動きで、周りの敵の金縛りが解けた。





「このまま、逃げれると思うなよ!」


「―――――――思ってません。」






襲ってきたので、襲われる前に殴り飛ばした。



バキッ!


「ぎゃ!?」




続けざまに、数人を殴りつけた。




ドスドスドス!


「う!?」

「が!?」

「あが!」




こいつらにも綺麗に攻撃が入り、床へと倒れていった。




「きゃああ!誰か~!」

「いや、助けて~!」

「き、菊ちゃん!しっかり~!」



それを見て、ヤンキーとキャバ嬢の中間みたいな女の子達が叫ぶ。

キッチンや部屋の隅に逃げたり、失神している蛇塚に駆け寄る。

その様子に、ごめんね~と思いながら言った。










「オラぁ!!どかねぇーと、ブッ殺すぞっ!!?」








人生初の巻き舌。


戦いを挑んでくる奴を蹴りながら言えば、何人かの動きが止まる。




「ひっ!?」

「きゃ!?」

「う、わっ!?」




それで、行きたい方向へと道が出来た。





「来い、可児!」





ホッとしつつも、可児君を呼ぶ。

漢らしく、あえて百鬼をイメージしながら怒鳴る。




「あ、お、まっ・・・!?」




これに声にならない声を漏らすハゲ君。

敵の1人を殴り飛ばしながら、私へと振り返る。

その手をもう一度引っ張り、乱暴に戸を開けて閉める。

外でかかっている音楽のおかげで、ドアの開け閉めの音は響かなかった。