「おい、咲子!お子ちゃまに、グレープジュースくれ!俺も飲む!」
「え!?蛇塚さんも!?」
「お前が言うから飲みたくなったぞ、坊主!?おい、咲子!」
「わ、わかったわ・・・持ってくる。」
蛇塚の言葉に、綺麗な女の子がキッチンへと消えた。
その様子を見て気づく。
(あれ?このお店、なんか・・・・?)
「大人の姿が見えませんが・・・スタッフさん、いないんですか?」
「ああ!ここは俺の店だからな!」
「あなたの!?」
思わず、蛇塚を見る。
奴は、瓶のままのビールを飲みながら言った。
「俺がオーナーで俺が給料出す!なんなら、お前も働くか~?」
「いえ、僕は未成年なので、アルコールをお扱うお店はちょっと・・・」
「はははは!大丈夫だって!全員、二十歳以下だ!」
「え!?もしかして・・・あなたもですか?」
「あたりめぇーだろう?お前、蛇塚菊千代って、聞いたことねぇーの?」
「・・・蛇の目の総長と、同じ名前ですね・・・」
瑞希お兄ちゃんの言葉を信じてないわけじゃないけど。
(あまりにも出来過ぎた偶然を、疑ってしまう・・・)
どんだけ、遭遇率が高すぎるの、私?
間違ってたらいいと思いながら、念のため確認したんだけど・・・・
「ばーか!俺がその総長様なんだよ!」
そう言いながら、はー息を吹きかけられる。
〔★本物だった★〕
「くさ!?酒臭っ!」
〔★そしてくさかった★〕
「ぎゃははははは!お前面白いな~!?」
「うう・・・」
完全に相手のペースに巻き込まれる。
〈しっかりしろ、凛。遊ばれてるぞ・・・!?〉
(わかってますよ・・・!)
敵の大将と至近距離にいるせいで、まともに瑞希お兄ちゃんと話せない。
返事もできなくて、もんもんとする。
(てか、いつまでもこんなことしてる場合じゃないよ!早く、可児を探さないと~)
隣にいる相手が、本物の蛇の目の総長ならチャンスかもしれない。
(うまく誘導して、可児君がどこにいるか聞きだそう!)
そのためにも、コミュニケーションを取って~!!
「じゃ、じゃあ、総長さんは、世間で言えば、実業家という方ですね?」
「実業家?」
私の問いに、男が笑うのをやめる。
真面目に私を見る。
そんな相手に、あたりさわりのない笑みを浮かべながら話しかけた。


