力の抜けた体で、目で、携帯を見つめる。
「・・・ははは。瑞希お兄ちゃんすごいな。」
(声で・・・・)
声だけで。
(顔は見ていないのに・・・。)
声だけで。
「私の『声』を聞いただけで、いつもと違うってわかるんだ・・・」
お母さんも、お父さんも、私の『声』を聞いたって何も言わなかったのに・・・。
「毎日・・・・一緒にいないのに、瑞希お兄ちゃんには、わかっちゃうんだ・・・?」
笑っちゃう。
笑える。
「あは・・・・!あはははは!」
軽く声を出して、笑う。
コンコン!
「凛、なに楽しそうにしてるの?宿題は終わった~?」
「あははは!宿題がやっっっっと!終わったから笑ってるんだよぉ~もう寝るから、声かけちゃやだよー?おやっすみ~!」
「あらあら、はいはい。おやすみ、凛。」
「おい、凛はどうしたんだ?楽しそうにしてるが・・・・?」
「宿題が終わってホッとしたみたい。年頃ね~」
「だから、嬉しそうにしてたのか。」
違う。
「ふふふ・・・!」
違うのに。
「ふっ・・・・!」
楽しくない。
嬉しくない。
(瑞希お兄ちゃんとの電話の後なのに―――――――――)
「なんで・・・・?」
どうしてだろう。
(なんで、涙が止まらないの・・・・!?)
落ちる涙と、ぬれる携帯。
どうして私は、泣いているのだろう?
なぜ、胸がいたくなってるだろう?
恋する胸の痛みとは違う、するどさと痛み。
涙の意味をわかっているのに、わかりたくない。
わかるのはただ一つ。
「瑞希お兄ちゃん・・・・!」
真田瑞希様、私は、あなたの言葉が嬉しかった。


