〈俺の方が遅くなるかもしれねぇーけど、待っててくれ。ちゃんと帰るから。〉
「はい!お待ちしてます!」
〈よいよし!今日はみんな、家にいるからよ~一人ぼっちで待つことはないと思うぜ。〉
「え?他の皆さんもいるんですか?」
(珍しい。全員勢揃いなんて。)
〈そういうこと!あいつらにも、声かけてやってくれ。事情を知らないモニカ辺りが、寂しがってるからな~〉
「わかりました。ご挨拶します。」
〈そうしてくれ。じゃあ、あとでな、凛?〉
「はい!」
〈あ、そうだ!凛さ~〉
ふいに相手が言葉を濁す。
「どうしました?」
〈いや・・・〉
めずらしく、言うのをためらっている。
「瑞希お兄ちゃん?」
〈凛さ・・・なにかあったか?〉
「え?」
なにかあったかって・・・?
〈なんか・・・最初に声聞いた時、凹んでる気がしたからさー・・・親と喧嘩でもしたか?嫌なことでもあったか?〉
「っ――――――――!?」
嫌なことでも・・・・?
その言葉に、違った意味で、胸を射ぬかれる。
(なにかって・・・)
―ゴミ女―
「あ・・・」
あった。
嫌なことが。
ヒドイことが―――――――――
「ありません。」
真実を飲み込む。
「瑞希お兄ちゃんがおっしゃったようなことは、ありませんよ。」
親に嫌なことはされてない。
同級生に嫌なことはされた。
そこだけ、否定せずに答えた。
嘘にならないように伝えた。
〈本当か?〉
「本当ですよ?」
強い口調で聞かれる。
それに優しく返事を返す。
〈・・・そうか。凛がそう言うならそれでいい。けど、忘れるな。俺は、凛の味方でいるつもりだ。辛くなったは、いつでも言えばいいからな?〉
「・・・・・・・ありがとうございます。」
優しい言葉にお礼を言う。
〈今夜来いよ、凛。じゃあな。〉
「うん、またね。瑞希お兄ちゃん。」
最後は普通に話して、電話を切った。
通話画面が光り、どれだけ話していたか表示される。
わずか数分のやり取り。


