彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)




「大丈夫かな・・・」

「イケるゆーたから、イケるんちゃうかなぁ~!?うっはっはっはっ!」



私の独り言に、グラサンが返事をする。




「あの兄ちゃんもやけど、自分も頑張ったなー!?うはははは!」

「あ、いえ、私は~・・・」

「ほれ、はよぅバックレるで!こっちや!」

「え!?」




そう言うなり、腕をつかんで引っ張られた。



「あ、あの!?」

「うはははは!あのままあそこにおったら、『第一発見者』やー!『お前が邪魔したおかげで怪我した』でー!?って、後から面倒やん?」

「それも・・・そうですが・・・」


(確かに、あまり目立たない方がいいからな・・・)



そのままグラサンに腕を引かれる。

彼は、人気のある表まで私を誘導してくれた。




「ここまできたらええわ。」

「あの、あなたは―――――――」




2度助けてくれた人。

話しかけようと試みるが。





「あ!?いたいた、お嬢ちゃん!お客さーん!探したわよー!?」

「運転手さん!?」




タクシードライバーが現れた。

息を切らしながら近寄ってくる。




「急にいなくなって、心配したわよ!?」




どうやら、私を探していてくれたみたいだった。





「うはははは!なんや、知り合いかいなー!?」

「え?ああ、そうともいえますがー」

「せやったら、安心やな!気ぃ帰りーや!」

「えっ!?」


「ほななぁ~!」





私に笑いかけると、しっかりとつかんでいた手を離す。

そして、何事もなったように立ち去るグラサン男。



(また・・・何も言わなかった・・・?)



普通なら、一度会っているなら、それらしいことを言うのに言わなかった。




(覚えられないほど、印象が薄いのかな・・・?)



「あの――――――・・・・・!」



一瞬、声をかけようかと思ってやめる。





(菅原凛でいる時は、大人しくしてた方がいいんだもんね・・・)




占いに従い黙る。

やることはやった。

ちゃんと助けた。

それ以上のことは控える。

だから・・・・・・・名前のわからない男を静かに見送った。