(なによあれ!?)
悔しい!
ムカつく!
悔しい!
憎い憎い!
「・・・・つらいっ・・・・・」
チャイムが響き渡る廊下を走り抜ける。
周りの人すべてが、私を見て笑ってる気がした。
(なんなの!?なんで!?どうしてよっ!?)
教室から離れたくて、保健室に行く気も起きなくて。
走った。
走って、走って・・・・走ってるうちに、涙がこぼれた。
「うっ・・・・うう・・・・!」
袖で目元をこする。
(だめだま・・・涙止まらない・・・我慢できない・・・!)
どこか、どこかで1人になれそうな場所で・・・・!
それで目に留まったトイレに駆け込んだ。
誰も入ってないか、確認する。
そして、一番奥の個室へ入って鍵を閉めた。
「うっうっ・・・・ひっく・・・・!」
(ひどいよ・・・私が何したって言うの・・・!?)
―凛、どうしたんだ?―
声と一緒に、優しい笑顔が頭に浮かぶ。
(瑞希お兄ちゃん・・・・!)
穏やかで、優しい優しい目で私を甘やかしてくれる大好きな人。
(お兄ちゃんに会いたい。)
強く思う。
恋しく思う半面で、恥ずかしくもなる。
(変だよね・・・・龍星軍4代目総長が、女子トイレでいじめられて泣いてるとか・・・)
強い『漢』になれって、言われれたのに。
瑞希お兄ちゃんに褒められるような、カッコいい『漢』であったはずなのに。
(今の私は、カッコ悪い・・・・)
反撃もできず、現状に混乱して、泣くしかない女の子。
(ただの弱虫だ・・・・・)
情けないと思う。
そんな気持ちで、持っていたハンカチで目元を覆った時だった。
「ねぇ、聞いた?月乃亜がキレてる話?」
「あー聞いた聞いた、フッチーのことね?」
(誰か来た!?)
ビクッとしたが、すぐに自分を落ち着かせる。
(大丈夫・・・私がいるのは一番奥のトイレだから、声を出さなきゃ気づかれない・・・!)
そう思う一方で、聞えてきた会話が気になった。
(『フッチー』は渕上のあだ名で、『月乃亜』は名前・・・?)
あんなキラキラネーム、そうあるものじゃない。
トイレに入って来た女の子達は、楽しそうに話しはじめる。


