でも、貴方の私にはなれなかったんだ。
貴方の傍に居れなくなってから、気づいたんだ。


貴方と出会ったのは確か、
お姉ちゃんとお婆ちゃんの誕生日プレゼントを
買いに行った時だったかな。
4つ歳上のお姉ちゃんと話しながらプレゼントを選んでいたんだ。
お姉ちゃんは加奈実(かなみ)。
4つ歳上で喫茶店の店長をやっているんだ。
私もそこでバイトをさせてもらってるんだ。
両親はいないんだ。
小さい頃に事故でなくなったらしい。
私が産まれてすぐだったんだって。
お姉ちゃんもあまり覚えてないって言ってた。
だから、お姉ちゃんが親代わり。
そのせいでもあって、私とお姉ちゃんはとても仲がいい。

「ねぇ、加奈子これなんかどう思う?」

と、少し遠くにいるお姉ちゃんが青い花が着いた帽子を見せながら、
私に問いかけた。

「うーん、私はこっちの方がいいと思うな!」

と言いながら私は、
近くにある薄ピンクの桜模様がついたコサージュを手に取ろうとした時
誰かの手と触れ合った。

「あっ、すみません!」

私が慌てて手を引っ込めて謝ると、

「いえ、気にしないで?俺こそごめんね」

優しく声をかけてくれた。
私より歳上だろうと思わせるくらい大人な雰囲気の人で、
落ち着くような声で冷静に私の目を見て話てくれた。

吸い込まれる様な感覚を感じてしまうほどその人に夢中になってしまっていた。
するとその人は、
私が手に取ろうとしたコサージュを手に取ると、
私の手を包み込む様にしながら手渡しで私にくれた。

「これ、君に譲るよ」

そういってその人はその場を去っていった。
とても素敵な人だった。
そう思ってしまうほど優しい人だった。
私は心の中でもう一度会いたい。
気づいたラ何度も何度もそう思っていた。

これが、一目惚れって奴なのかな?