幼なじみはアイドルの先輩

愛結がどこにいるのかは大体見当はついてる。


何度も訪れた正面玄関から入っていく。


朝から総合受付の手慣れた女性職員が問い合わせをしたり、病室までのルートを印刷して家族に説明してる。


そんな賑やかな空間を素通りし、目に入ったカフェも通り過ぎ、エレベーターで3階へ。


扉が開くと、俺の予想がズバリ的中だ。


デイルームで結子さんがどこか電話をかけてた。


頭下げてるから、親戚あたりに電話をかけてるのか。


それとも……。


電話を切ったところですぐさま声をかけた。


俺が函館まで駆けつけるとは思わなかったみたいで、結子さんらしくない驚きの声をあげた。


「昨夜、社長から連絡を受けまして朝イチで函館に」


「…………ありがとうございます」


「ご主人はICUですか?」


「いえ、荷物を取りに自宅に」


そう。ここ3階はICU。


家族以外の者は時間が厳しく制限される。


俺も会うのは今の時点で至難の技だ。