幼なじみはアイドルの先輩

榊がなぜ久留米を気にしたのかと言うと、桂木エージェンシー所属のタレントが音楽番組の司会を務めてゲストとして呼んだメンバーの態度が悪かったと社長に申し出て、後日社長直々に久留米に猛烈な抗議をした。


アポなしで突撃されたのが久留米の運のよさで、たまたま打ち合わせで久留米と事務所にいた。


俺がいるとわかった途端社長は大人の抗議をしたのだが、久留米はその日大荒れだった。


以来、意図的に社長を避けてる。仕事も桂木側の人間がいると差し替えるってわけだ。


「まだまだいたいが、俺はこの後ラジオがあるからお先にな。これで払っといてくれ」


榊にカードを渡した。


「いつもすいません。阿久津、ビールもう飲むなよ。ホントにユニット入れるぞ」


「じゃあノンアルで」


阿久津の痩せる姿は当分お目にかかりそうにもないな。