幼なじみはアイドルの先輩

2人がかりで愛結を着替えさせたけど、それなりに時間かかった。


コンサート終わって結構経ってるのに、愛結はまだ肩で息してるし、汗が止まらない。


「ありがとう……もう大丈夫……」


とても大丈夫そうには見えないです。


1人でペットボトルのミネラルウォーターすら飲めないんだから。


華澄に飲ませてもらって、どうにか椅子に座らせたのはいいが、うずくまってしまうし。


「どうしよっか……」


菜穂たちも何か手伝おうかとは言ってくれたけど、私が見栄を張って先に帰らせたから、楽屋は3人だけだ。


「何だ?まだいたのか?」


「社先生!?先生こそまだいたんですか?」


「記者たちに捕まってたんだよ。お前らにお疲れさんって声かけたかったんだけどな。あれは愛結か?」


困った時にひょっこり顔を出してくれる社先生が今日でマジでよかった。


社先生がスマホを出してどこか連絡してる。


「2人とももう帰りなさい。後は俺が面倒見る」


「いいんですか?」


「ここは大人に任せとけばいいんだよ。打ち上げ終わるぞ」


痛いところを突いてくるね。


「わかりました。後はお任せします」


愛結にお疲れさんって言ったけど、身体をぴくりとも動かさなかった。


華澄と未練がましく楽屋をチラ見して帰ってしまった。