幼なじみはアイドルの先輩

せめてこれくらいはやらせてください。


曲がってたネクタイを直し終えた直後、パイプオルガンが鳴り始めた。


「ありがとう。お!新郎の登場だ」


扉に身体を向けると努さんが最前列に向かって早足に歩いていく。


私らを通りすぎて行ったけど振り向きもせず。


緊張してるねえ。いつも劇場で魅せてるオタクの佇まいをさすがに封印してる。


出来る会社の役員を必死に演じてる。


努さんは正面の十字架に軽く頭を下げ、くるりと向きを変えた。


手に汗が。


当事者じゃないのに緊張する。


閉まってた扉が開いた。


文と両親が……。


やばい。涙腺がとにかくやばい。


文は身をかがめてママさんに上げていたベールを下ろしてもらった。


娘と母は微笑み合っていた。


パパさんは緊張してるみたいで伏し目がちだった。