幼なじみはアイドルの先輩

「あの子は?」


「たぶん、きついこと言われたんだと思う。でも、これも試されているから耐えないと」


さすが経験者。発言に重みがありますよ。


私が慰めようとしたけど藍ちゃんに止められた。


まだ結果が出てない段階で優しく接しても相手の神経を逆撫ですると。


ここは経験者の言うことに従います。


次々にオーディションが進み、みんな硬い表情で戻ってきて力なく自分の席に座ってうなだれていく。


ピリピリ感が漂い始めた中、和奏ちゃんの番になった。


私らはとにかく祈ることしか出来ない。


どうか無事に帰ってくるように……。


5分後、和奏ちゃんが戻ってきた。


安堵の表情には見えるけど。


「どうだった?」


和奏ちゃんは胸に手を当ててふぅっと息をついた。


「特に何も言われなかった」


「マジ?」


「覚悟してたけど。なんか拍子抜け」