幼なじみはアイドルの先輩

選抜祭当日に安西を見舞いに行った。


入院から半年。転院先で本格的にリハビリに励んでおり、地道なリハビリのおかげで杖を使って1歩1歩ゆっくり歩き始めていた。


「おはようございます」


「だいぶ顔色がよくなってきてるな」


「まだまだですよ。杖なしで歩けるようにならないと」


マヒがまだ残ってるらしいが、皮の剥いたリンゴを左手できちんと掴んでる。


「選抜祭今日だぞ」


「知ってます。俺にとっては今どうでもいいんですけど、周りがうるさいんです」


俺もその周りの人間だ。


「おととい杏ちゃんとゆかりがお見舞いに来たんです」


「ホントか?」


「はい。杏ちゃんは映画の舞台挨拶を優先するようで、ゆかりがずっとケチつけてたのがもうおかしくて」