幼なじみはアイドルの先輩

まあお茶を濁した初日の出来だった。


ステージ裏ではゆかりの雷が何発も落ちてるだろう。


「楽しめたよ。ありがとうな」


「気持ち悪いなあ。どうした?」


「どうもしねーよ。それより、映画公開が夏に決まったぞ」


「映画?俺は何か仕事したか?」


「社さん、劇場チーフの出演作ですよ」


知り合いのレポーターが記者席から声を出した。


すっかり頭の中からスッポリ抜け落ちてた。


思い出すのに時間がかかり、気づいたと同時に「あ!」と思わず裏返った声が出てしまった。


「いつだ?」


「夏しか聞いてない。初日試写会出てくれって要請来てるからそれなりに出番あるとこっちでは読んでる」


選抜祭の時期と重なるなあ。


お蔵入りにならずによかったよ。


安堵したが、会場出るまで桂木が愛結とのツーショット写真を自慢気に俺に見せびらかしていたのが久しぶりにウザく感じた。