文と一緒に帰るんだけど、校門には人がまだいるね。


「そう言えば今日だっけ?書類審査の結果」


「そうだね」


「わくわくする〜」


文さん、嬉しいんですけど、校門には飛鳥先生がいらっしゃるんですよ。


私たちはもう見て見ぬふりで写真撮影の人だかりを通り過ぎていく。


よし!抜けた。これで……。


「水原!」


え!今の声って飛鳥先生だよね?


あなた、文が隣にいるのわかって私を呼んだの?


だとしたら、空気を読めよ。


文は私の袖を掴んでるし。


この場から一刻も早く立ち去りたいと訴えてます。


「桜井先生、私急いでるーー」


「頑張れよ」


「……失礼します。いろいろとありがとうございました」


2人で猛ダッシュで学校から離れた。


「文、大丈夫?」


「もういいから」


息をきらしながら学校の方向を目を潤ませながら見ていた。


桜井先生はなぜ私を呼んだんだろうーー


ママだ。


「今から帰るよ」


『杏、合格!次最終オーディションだよ!』


まさかの結果がきてしまいました。


『最終オーディションは次の土曜日。頑張りな』


ママの息がけっこう弾んでる。


気合い入りまくりだよ。


「文、最終オーディション受けることになった」


「やったじゃん!おめでとう!」


文の気持ちがどん底から抜けたのがせめてもの救い。


「杏、今日は遊ぼ遊ぼ」


あ〜あ、欲望丸出しの女の子たちと争わないといけないと思うと、一気に私の心が凍りつきました。