「実はさ、またオーディションするんだよね」


「そうなんだ」


「単刀直入に言うけど、杏、オーディション出てみない?」


ゆかりが私の手首を掴んだ。


力強い眼差しを私は浴びて少し視線をゆかりから落とした。


「待ってよ。私がアイドルのオーディション?ムリムリ。今年大学生になる予定なんだよ。それにもう18だし」


「18でも全然大丈夫。それに、あたしよりかわいいし、歌も上手いし」


「それはカラオケの話だよ」


「杏、オーディション応募してみたら〜」


てっきりゲームに夢中でこちらの話なんか聞いてないと思った文がまさかゆかりの援護射撃を。


「あたしは、昔の約束今も忘れないでいるからね」