「忙しいんじゃないの?」


「つかの間のオフもらったよ。それにしても、あんたの部屋はなんにも変わってないわ」


ゆかりは私の部屋をぐるりと見渡して紺のロングコートとマフラーを脱いで椅子の背もたれにかけた。


文は入るなり、ゲーム機を引っ張り出してやる気満々だけど、マフラーとジャンパーはせめて脱いでからお楽しみください。


「ハハ!文のゲーム好きも変わらないか」


「この子は大人になってもこうだと思う」


人のことを言えないんですがね。


「ゆかりは芸能人って感じ。なんかオーラ出てるもん」


「やめてよ〜。誉めても何もあげないよ」


ちょっと迷惑そうな感じで私の背中を軽く叩いた。


二人で座ってるベッドがギシギシと音をたてて揺れた。