幼なじみはアイドルの先輩

いつものように劇場に到着。


特別なこともすることもなく事務所に入ろうーー


「おは…………ようございます」


「おはよう」


サブローさん?


なぜ?


どうして?


「あ…………、あの……今日は?」


「挨拶しに来た」


「そう…………なんですか」


「ワシもガーネットさんと仕事してるから、新体制になったし挨拶はしとかないと思って来たらちょうど一番偉い人が来たからよかった」


…………。


相手とは目と目で話すのが基本なのに…………。


…………状況が完璧すぎて…………。


「今日からも、そしてこれからも公私ともによろしくお願いします」


「…………こちらこそよろしくお願いします」


身体が宙ぶらりんだあ。


これって…………、ああいうもんなんだよね?


「桂木社長に呼ばれてるからお別れだ。お先に」


普段と変わらないサブローさん。


私だけが密かに取り乱してる。


…………いきなり初日からこれじゃダメだ。


と、自らに言い聞かせ事務所に。


「おはようございます」


「おはようございます」


私以外いつもと何にも変わらない。


「水原さん、机に資料ありますから読んでください。私に関することも記載されてますからお忘れなく」


「はい…………」


涼さんが背中を押してくれて自分の席に。


この気遣いは今日だからかな?


一時的に浮かんでいたけど、地に戻ってきた。


「やっぱり、この席で仕事してるチーフが一番ですよ」


菜穂さんが温かいお茶を持ってきてくれた。


自分の居場所に戻ってきた感覚。


歌ってダンスしてるのも楽しかったけど、私はやっぱりここなんだなあ。


「ありがとうございます。みなさん、今さらですけど、よろしくお願いしますね」