コンプライアンス室を出てエレベーターの横に自販機があるので、2人分のコーヒーを買う。


「これでも飲んでくれ」


廊下は意外と冷え込んでいたから、つい流れでホットコーヒーを差し入れてしまったが、2人は大喜びしてくれた。


「薫に参考になるかはどうかはわからんが、俺のアドバイスを頭の片隅にでも置いといてくれ。思い切ってこれでもかと脱線してもいいと思う」


「うーん、わかるんですけどね」


「例えば……、薫の世間のキャラをコンサートであまり見ないから、水原も顔負けのドッキリを仕掛けるとかな」


「ドッキリ……そうですか」


榊がホワイトボードに大きくドッキリと書く。