幼なじみはアイドルの先輩

そう言ってひかるは立ち上がって盛大にあくびをした。


こんなとこファンにでも目撃されたらイメージダウン必至なのに、たまーにやってしまうんだよね。


本人は意に介していないのが頭が痛いんだよね。


「中の方が暑いね。あたしはブラブラしてるけど、どうします?」


真っ赤なハンカチで首もとの汗を拭うひかるの目が細くなっていた。


残暑がまだまだ厳しいので、一部のメンバーはリハが終わるなり、その場にうずくまって身動きがとれなくなる。


よくみんな熱中症にならずにやっているよ。


「どこか涼むとこあれば教えてください」


ひかるは何も言わずに私から背を向けて行ってしまった。


私も何も言うことなくひかるの後を追っていた。


彼女の後ろ姿に迷いなんて文字がなかったから。