幼なじみはアイドルの先輩

目だけは動かしてひかるがどこにいるか確認した。


もっともそんな必要はなく、私の隣の椅子に足組みながらスマホをいじってた。


「なんか今回みんなピリピリしてて避難してきた」


「考えてることは一緒か」


「ゆかりは?どう?」


「あたしが聞きたいよ」


「あたし?あたしはもうスピーチ考えてるよ」


「さすがですね」


「去年みたいな大泣きしてのスピーチはもう嫌。あたしがしっかりしないとみんなに示しがつかないでしょ」


ひかるの強気はいつものことなんだけど、立候補してから言葉にとげとげしさがなくなったような気がするんだ。


全体を見渡せるような余裕が生まれたというか。


「ゆかりと一緒に歌いたいなあ。バックダンターのセンターでもいいよ。そしたらゆかりのダンスがセンターで楽しめるし」