幼なじみはアイドルの先輩

「努さん、名前はもう決めてあるんですか?」


杏がスマホ出してベビーを撮ってた。


やばいやばい。忘れるところだった。


「ほぼ決めてる」


「いまどきの名前ですか?」


「真面目に考えたから真面目な名前だよ」


吉原さんはジャケットの胸ポケットからペンとメモ用紙を手に取る。


スラスラとメモ用紙にベビーの名前を。


「ジャーン!これがベビーの名前だよ」


『…………結(ゆい)!?』


「ゆいちゃんだよ。僕と妻が夫婦として結ばれ、生まれてきてくれたから、そこから漢字を取って。これからの人生いろんな人と結ばれて大きくなってほしいって」


吉原結ちゃん……いい名前だ。


「結ちゃん、ママのお友達ですよ〜」


「結ちゃ〜ん、ママのお友だ…………」


…………あれ、やばい。私、こんな時に…………。


こんな時に急に涙がポタポタ……。


「あらら。泣いちゃってるねえ」


「努さん、申し訳ないです。こら!こんな時に。ベビーちゃんビックリするじゃないですか」


「……うう……。これでおあいこだから。吉原さん、ホントにおめでどうございます」


「ハンカチです。洗って返してくださいよ」



漢字見ただけで、結ちゃんを愛結と重ねて見てしまって、余計涙が止まらなくなる。


スヤスヤおねんねしてるベビーちゃんたちごめんね。


こんなおばちゃまだけど、気にしないで寝てて。