気がつけば…

早いもので、俺達が京に来て1年が過ぎていた


そんなことを思いながら、筆を走らせる


そんなある日






街では〝桜太夫は、床入りしていない〟という噂が出回った

その噂は、揚屋の寝ずの番が、流したものだった



「さすが!!太夫!!
芸は、売っても、躰は、売らねぇ!!
馴染みの旦那も偉い!!
身請けするまで、手は出さないときた!」



なんて、酒に酔って話したらしい

口止めされているはずなのに……


おかげで、島原は…大変な騒ぎになった


なぜなら、噂を聞いた将軍の側近が

桜太夫を将軍側室にしたいと、大金を持って来たからだ


有難いのか、迷惑なのか…


俺達は、その警護をしている



「慶太郎!仕事中だ!集中しろ!」



なんて、声をかけた俺も、気になって仕方ない

これは、男だと、バレる恐れがある

それに……断れば、どうなるか




「うふふっ 大変な騒ぎになり
驚いております
噂は、真実とは限りませんよ
だって、私は新木様と体を交えておりますので
たまたま、寝ずの番が他所におられたのでしょう
申し訳ありませんが、側室など私には
勿体ないことで、ございます
控えさせていただきます」





そうきたか……









「申し上げます!
新木に確認した所、間違いなく
男女の関係があるとのことです!」



桜がにっこり笑って言った

「春には、私を身請けする準備が、整うそうです
将軍様にも、温かく見守って頂けると
嬉しく存じます」






こうして、大騒動は治まったが

もしかしたら、生娘かも

なんていう考えを持った男達が

桜太夫に会いたいと

以前よりも、人気が高くなった





そして、事件が起きた