~土方歳三~



京で評判の高い、桜太夫は将軍に舞いを披露した


その舞いの美しさから、将軍に気に入られ


度々、呼ばれるようになっていた


この頃、渉に戻ることがなくなった


弘吉は、たまに慶太郎と会っているみたいで、桜太夫の身請け話が進んでいるという

驚きの情報をくれた


なぜだか、桜太夫もその気で
家元が会いに来る日は、料理を自ら用意したり、文のやり取りも頻繁にしているとか


あの日から、慶太郎と桜太夫は、会っていない

つまり、仲直りをしていないまま




それにしても


男が男に嫁ぐとか……


大丈夫かよ……










年号が元治に変わった頃



俺は、ひとり芹沢さんの墓へ
新選組の近況報告だ




先客の姿に、思わず隠れた







それは、桜太夫だったから

といっても、太夫の格好ではなく

簡単な町娘のような姿





「芹沢さん… 助けて…」









消えるような声で













涙を流していた











その横顔を見た瞬間









俺は、飛び出した