十日も経たないうちに、バタバタと
渉は、桜天神から、桜太夫へと昇格した


その花道は、見物人で賑わい


桜太夫を一目見ようと、前に前にと人が押しやられ、大変なお祭り騒ぎになった


その警護を新選組がまかされていて

怪我人を1人も出さずに、無事に終えた




警護をしながら、桜太夫に釘付けだ

優雅にハの字型で歩く

桜太夫は、この世の者とは思えないくらい

綺麗で、吸い寄せられるほど

皆の視線を集め、見たものは、口を開けた



ひとつの仕草も綺麗で、うっとりと

男達が、声を上げる



傘持ちをする弘吉も、自慢気だ










近藤さんなんて、わが子の嫁入りかってくらい、泣いてるし…


仕事中だろうが!!



って、叫びたいくらいだったが



近藤さんは、渉の秘密を知っている


弘吉や慶太郎にも言えないこと


よほどの事情なんだろうが


1人で抱えていた重荷を近藤さんに分けた


俺を選べって言ったのに…


まぁ、渉が楽になったなら、いいかな