*武士の花*~花は桜木、人は武士~

そろそろ、押してみるか






その日







2回目の桜天神と夜を過ごす


「土方はん?こんといてて、ゆうたどすえ?」

「こねぇとは、言ってねぇ」

「子供はんかえ?おほほほっ」

「芹沢さんが気に入ったなら、なおのこと、浪士組に入って貰おうか?」

「渉にいうて?うちは、花魁や!?」

ちょっと…

いや、気のせいじゃねぇな?


「お前、具合悪いだろ?」

「へぇ…まあ」


気の抜けた返事     チッ


「置屋まで送ってやる」

「そんな、しきたり破ったら出入り禁止になりますえ?うちは、できひんことは、せん主義や!明日は、休むって…もう…
決まって……ますよって……ちょっと…?
なんやのん?」

ジリジリと渉に近づいて

「緊急事態なら、しきたりなんて、関ねぇよな?
気を失った振りしろ!」

「わっ!!/////」


渉を抱き上げた
力士が抱えたとき、すげぇと思ったが
こいつ、軽すぎだろ
着物分くらいしかねぇな


「ほら、目を潰れ!」


俺は、渉を置屋に届けた

「あらぁ、土方の旦那!すまないねぇ?
今夜の分は差し引くよ
桜、部屋に行けるかい?」

「へぇ…」

「後で、行くから寝てな」

「へぇ…おかぁさん、堪忍な」

しょんぼりして、部屋へ行く



女将が俺に言った



「難しいよ、あの子は
土方さんが良かれとしても、あんな風に
肩を落とす
何をしてやっても、たいして感情を出さない
子供の頃からここにいるけど、あの子は
自分の為に何もしない子だよ
人のことばかり、人が笑うと笑う
必要とされれば、何でもしたがる
器用貧乏ってやつさ、結局街の奴らも便利に使ってさ… 見極めきれないんだ
いい人、悪い人ってやつをね」


女将のいうことが、少し理解出来た



渉は、純粋だから…

信じようとする




俺は、逆だった…

近づいて来る奴は、拒んだし

いい人も悪い人に見えて

近所でも、有名な悪ガキだった




渉みたいに、純粋な奴は、損をして欲しくねぇ





土「女将……渉を浪士組に任せてくれねぇか?
俺達は、色々な事情をもった奴らの集まりだから、渉の力になれると思う」



女「そうかもね……
だけど、あの子が行くって言わなきゃ
あたしも、手放せない……」












屯所に帰る途中



芹沢さんが酔って、荒れている所に出くわした


「これだから、浪士組は!!
局長がこれだからな!!
どっかいけってんだ!!」



止めに入って、その場は収めた


こんなこと、芹沢さんに続けさせたら

浪士組は、潰されちまう……