弘「渉!!裏のお里さんがいない!!」


弘吉の知らせを聞き
渉が、水を持って裏に走る



俺と慶太郎もそれについていく

渉「慶太郎、ゆっくり百を2回数えて!」

渉が、桶の水をかぶる

渉「数え終わって、俺が出て来なければ
諦めて、家を崩せ!」

慶「え!!まさか、入るのか?」

渉「水汲んどいて!!」

止める間もなく、火が燃え移る家に入った

「渉ーー!!!」

弘吉が叫ぶが、振り返ることはなかった


慶「1、2、3・・・・・・」


弘「水汲んでくる」


長い付き合いの2人だから、信じて待とうと、言われたことをする


1回目の百になる頃、完璧に火が燃え移る


俺と弘吉は、慶太郎の数えを拳を握り締め
ただ聞いていた


もうすぐ、2回目を迎えるとき



ガタッーーーン



お里を連れた渉が、出てきた


汲んでおいた水を2人にバシャッとかけた


土「バカヤロー!!無茶しやがって!!」


渉「ケホッ ケホッ 
出来ないことは、しねぇ主義だ
無茶した覚えはねぇよ ケホッ」


煙を吸ったらしく、咳き込んでいるが

確かに言った通り、やり遂げた

結果論だが……


怪我人すら出さずに、この火事を消し止めることができたのは、やはり渉が先読みして、皆に的確な指示を出したから